2011年09月14日

PIPそれは空間圧縮による臨場感の演出

「映像にPIP (Picture In Picture) を使うと臨場感を増す効果がある」(中田の考察です)

以下は、先日まで自宅で編集していたビデオから考察した結果です。
一般的にはこのように解釈されない可能性があるのでご容赦ください。

人間は複数のものを同時に見ています。(重み付けは同等でないにせよ)
例えば近くのものと遠くのもの、中央のものと端のもの。

先日まで編集していたのは消防団の小型ポンプ操法大会の映像です。
小型ポンプ操法は、ポンプからホースを50mほど伸ばして放水して的を倒す時間・確実な動作・安全性を競う競技です。

この競技は4人一組で行いますが、競技中ポンプ側と的側に選手が分かれます。
両方を均等にビデオ撮影すると、人が小さくなってしまいます。
もしくは一方が大きく、他方が小さくなってしまいます。
そこで、複数のビデオカメラで撮影しておいて、あとで編集します。

すばやくホースを伸ばして放水の姿勢をとる的側の選手の映像に、限られた時間で送水の準備を行うポンプ側の選手の映像をPIPで挿入すると、ストップウォッチ片手に現地で両方の操作を見ているような迫力があります。

人は思いのほか広い範囲を見ています。
遠近方向にも左右方向にも空間を圧縮して知覚しているようです。
1台のビデオカメラでは視野が限られます。PIPを利用することで人の知覚に近づけることができると考えます。
すると現地にいる感覚(臨場感)が増して、迫力のある映像にできるのではないでしょうか。

p.s.
迫力を演出するための別の手法も試みています。
それはまた今度。

今日の気分 ('_')



posted by 中田智玄 at 12:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月24日

大きな声も小さな声も聴きやすく

eラーニング教材を聴いているときに突然声が大きくなったら驚きますよね。
逆に、ボリュームをげても聴き取りにくい音量では話になりませんね。

そこで「音量 (音圧) の圧縮」(compress) を使います。
※ 以後、"音量" の代わりに "音圧" という用語を使用します。
※ 音圧の圧縮を行う装置やソフトウェアの機能をコンプレッサー (compressor) と呼びます。
※ 音声ファイル同士の平均音圧を揃えるには別の処理を行います。

この処理は、大きな音を抑え、小さい音を大きくします。
処理の流れを見てみましょう。

音圧を圧縮して波形を拡大する過程 

1. 左端は元の波形です。(Before)
後で比較しやすいように正規化 (ノーマライズ) してあります。
大きな振幅A、中くらいの振幅B、小さな振幅C・Dが混在しています。

2. 中央は音圧を圧縮した波形です。
閾値を-17dBに設定したので、-17dB付近(オレンジ色の線)より大きな波形はつぶれ、それより小さな波形はほぼそのままです。
Aは大きくつぶれ、Bは少しつぶれ、C・Dは影響を受けていません。

3. 右端は圧縮した波形を改めて正規化したものです。(After)
はじめの正規化された波形では小さかったピークも大きくなっています。
Aはほぼ元の振幅に戻っています。B・C・Dはいずれも大きくなっています。
小さかった音圧は大きくなり、AからDの振幅の差ははじめに比べて小さくなりました。

これにより、特にeラーニングでは次のような効果が期待できます。
○突然音が大きくなるような、激しい抑揚を抑えることができます。
○小さくて聴き取りづらい音声を大きく聞こえるようにすることができます。
 
ただし、つぎのことには注意する必要がありそうです。

○大きすぎて割れてしまった音声を抑えても割れは元に戻せません。
収録時点で音声信号の入力部分にコンプレッサーを使用すべきでしょう。

○小さい波形を大きくするとノイズも大きくなります。
この処理を行う前に、ノイズ処理を行っておくべきでしょう。
(上のサンプルではノイズも大きくなることを示すために、ノイズ処理を行っていません。)

○抑揚を抑えすぎると単調になることがあります。
プロのナレーターの音声信号に対しては、あまり音圧を圧縮しなくてもよいかもしれません。

コンプレッサーには閾値以外にも様々なパラメータがあります。
効果を聴き比べながら試してみましょう。

今の気分 (-_-) by 中田智玄

posted by 中田智玄 at 14:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 教材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする