2011年07月07日

災害の想定できるのか?いや想定するのだ

東日本大震災のあと、TVで次のようにおっしゃる自治体の方がいらっしゃった。
「想定を超えた災害が起きることを見越して対策する必要がある」

想定を超える災害に対して対策できるものだろうか。
例えば、「震度6強の直下型地震が起きる」と想定すれば、それに安全率を掛けた強度で建築物を設計できるだろう。
しかし、「震度6強を超える大きな地震が起きる」とするならば、とのくらい超えるのかを想定しなければ建築物の設計基準が設けられない。
結局想定が必要なはずである。

それでも「想定を超える」と言いたくなる理由があるのではないか。

「このビルは阪神大震災規模の揺れにも耐えられます」と言われたときにどう思うだろうか。
「では、東日本大震災の規模の揺れならば?」と聞きたくならないだろうか。
中には、「そんな基準は甘い、間違ってる!」と強くおっしゃる方もあるかもしれない。

先の、「想定を超える」発言は、基準を明言する事によってこのような反発を避けたいのではないかと考える。

では、どうすればよいか。
想定を広げればいいのである。
建築物をこれから設計するのであれば、基準を東日本大震災にする事もできるかもしれない(工期と予算とのの相談で)。すでに建てられたものについては、東関東大震災規模の揺れによる影響をシミュレートし直せばよい。

機械製品には「耐久試験」と「虐待試験」という製品テストがある。
前者は仕様の範囲のギリギリで使ったときに問題が起きないことを調べるテスト。例えば、使用温度0℃から40℃とすれば0℃と40℃で使ってみる。
後者は仕様の範囲外だが想定される使い方の限界で何が起きるかを調べるテスト。例えば、-20℃で使ってみる。問題なければそれでよし。問題があればどのような問題かを記録し、生命財産に影響がなければ良しとする。

このように、想定が広がった場合に影響があっても、支障がなければよいのである。

機械の取扱説明書には仕様と使い方、そして禁止事項が書かれている。
同じように災害も自信を持って想定と現状を示し、対策を行っていただきたい。
「想定」という言葉が出る事柄については、常にこのように心がけたい。

p.s.
この原稿を書いたあと、ニュースで原子力発電所のストレステストが取り上げられた。
ストレステストは上記の虐待テストに相当する。

今日の気分 (-o-)

タグ:災害 想定 計画
posted by 中田智玄 at 09:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | マネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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